Geminiでの画像生成を調べたことがあるなら、名前の多さに戸惑ったはずです。Nano Banana、Nano Banana 2、Nano Banana Pro、Gemini 3.1 Flash Image。別々の製品に見えますが、そうではありません。Nano BananaはGeminiに組み込まれた画像生成機能の呼び名で、残りはそのバージョン違いです。
これがはっきりしていると得をします。仕上がりを左右するいちばん大きな選択が、どのモデルを使うかだからです。文字の多いインフォグラフィックを高速モデルで作れば文字はゆがみますが、同じ指示をProに投げれば読める形で出ます。使い分けを知っていれば、試行回数も1日の枠も節約できます。
この記事では、3つのモデルの使い分け、生成の手順、Geminiがいちばん活かせるプロンプトの書き方、このツール最大の強みである会話での修正、そして実際の限界を扱います。なお、記事内のサンプルプロンプトは英語で書いてあります。画像モデルは英語の指示にもっとも強く、そのままコピーして使えるようにするためです。
Nano Bananaとは
Nano Bananaは、Geminiが本体機能として持つ画像の生成・編集能力の名前です。本体機能というのは、画像モデルが別システムとして呼び出されるのではなく、Geminiに統合されているという意味です。そのため、こちらが送った画像やそれまでのやりとりを含む同じ文脈のなかで、指示を理解します。
2026年2月以降、GeminiアプリをはじめとするGoogleの主要な画面では、Nano Banana 2が画像生成の標準となりました。Nano Banana Proは、主に有料プラン向けの高精細な選択肢として引き続き用意されています。
3つのモデルと使い分け
Geminiのモデル選択メニューには、挙動を表す名前が並びます。「高速」「思考」「Pro」です。その裏にあるのは、それぞれ別のモデルです。
| モデル | 性格 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Nano Banana 2 Lite(高速) | いちばん速く、いちばん軽い | 試作、バリエーション出し、単一の情景だけの単純な画像 |
| Nano Banana 2(思考) | 万能型。ほぼすべての用途の標準 | 情景、人物、商品、イラストなど大半の用途 |
| Nano Banana Pro | 高精細。文字と複雑なレイアウトに強い | インフォグラフィック、文字量の多いポスター、納品する制作物 |
便利な流れがひとつあります。まず標準モデルで生成し、もっと精度がほしければ同じ画像をProで作り直せます。有料プランでは、生成された画像の三点メニューに「Proで作り直す」にあたる項目が出ます。ただし、標準モデルの1日分の枠を使い切ると、このProでの作り直しも使えなくなります。
💡 枠の使い方: まず高速モデルで通用する構図を見つけ、そのあとでProに投げてください。上位モデルの生成回数を試作に使うのが、1日の枠をいちばん無駄にする失敗です。
最初の1枚を出すまで
- Geminiを開く。 パソコンならブラウザ、スマホならアプリからどうぞ。
- 画像の画面に入る。 サイドバーに画像のセクションがあります。ツールのメニューから画像作成を選ぶこともできます。
- モデルを選ぶ。 上の表を目安に、高速・思考・Proから選びます。迷ったら標準から始めてください。
- 作りたいものを普通の文章で書く。 カンマ区切りの単語の羅列より、文として書いたほうがよく効きます。
- 同じチャットで直しを頼む。 「背景をもっと暗く」「夕方の光に」「隅の観葉植物を消して」。画像はそのままに、頼んだ箇所だけが変わります。
- フル解像度でダウンロードする。 スクリーンショットではなく、必ずダウンロードボタンを使ってください。
解像度:どこまで保存できるか
ダウンロードできる解像度はプラン次第です。GoogleのAI付き有料プランがなければ1K、あれば2Kで保存できます。文字やレイアウトを含み、拡大に耐える必要のある素材など、より高い精度がほしい場合はNano Banana Proが選択肢になります。
つまり、投稿、サムネイル、ブログの挿絵、プレゼン資料といった通常のデジタル用途なら、Geminiが返すもので足ります。大判印刷や高解像度モニターに使うなら、生成後に拡大が必要です。 画質を落とさずに解像度を上げる方法があり、線が整理された細部の少ない画像であればきれいに拡大できます。
Geminiへのプロンプトの書き方
Google自身が単純な型を勧めています。主役、動作、場面の3つを示して画像を頼む、というものです。出発点としては優秀で、次の一手はこれを膨らませることです。
型から始めて、そこに足していく
最小限の指示なら、こう書けます。
これでも画像は出ます。ただし、要素をひとつ足すたびに、頭に浮かんでいたものへ近づいていきます。
タグではなく、文章で書く
Midjourneyのようなツールとのいちばん大きな違いがここです。Geminiは会話型で、カンマ区切りの単語列より完全な文を活かします。人にその場面を説明するつもりで書いてください。
縦横比を伝える
指定しなければモデルが決めます。「ストーリーズ向けの縦長」「Instagram用の正方形」「ワイドの横長」のように伝えるか、比率を直接書いてください。
入れたい文字は引用符でくくる
画像に文字を入れたいときは、その文字をそのまま引用符でくくり、置く位置も指定します。そうしないと、モデルが言い換えたり、好きな場所に置いたりします。
書き直さず、直しを重ねる
うまくいかなかったときは、全文を書き直さず、直したい箇所だけを頼んでください。「構図はそのままで、コートの色だけ緑に」と言えば、良かった部分は残ります。プロンプトを丸ごと書き直すと、前とは無関係な画像が生成されます。
会話での修正:最大の強み
Geminiが抜きん出ているのがここです。画像を送り、変えたい内容を言葉で説明するだけ。Geminiが作った画像でも、自分の写真でもかまいません。マスクもレイヤーも選択範囲も使いません。
背景を差し替える
被写体はそのままに、後ろの環境だけを入れ替えます。人物写真、商品、販促物に効きます。
天候と時間帯を変える
晴れた昼を夜に、雨を降らせる、秋を冬に。同じ場面のまま空気だけを変えられます。
カメラの角度を変える
同じ場面を別の位置から見た絵を頼めます。写っていなかった部分をモデルが補うことになるので完璧ではありませんが、空間に余裕のある場面ならうまくいきます。
参照画像から作風を移す
便利なのにあまり知られていない使い方です。画像を2枚送り、一方の質感・色・作風をもう一方に当てるよう頼みます。ゼロから作り直さずに雰囲気を試す、いちばん速い方法です。
要素を足す・消す
写り込んだ不要な物を消す、観葉植物を置く、背景に人を加える。輪郭のはっきりした要素なら問題ありません。質感の込み入った場所を消すと、跡が残ることがあります。
参照画像の使い方
指示と一緒に画像を送れる点こそGeminiの真価で、使い方は大きく3通りあります。
被写体の参照。 人物、商品、キャラクターの写真を送り、新しい場面に登場させるよう頼みます。モデルはその被写体の同一性を保ったまま、周囲だけを入れ替えようとします。
作風の参照。 再現したい雰囲気の画像を送り、その配色、質感、表現のしかたを、別の画像や文章で説明した場面に当ててもらいます。
構図の参照。 ラフスケッチ、うまく撮れなかった写真、下書きを送り、要素の配置を保ったまま仕上げてもらいます。
実務上の注意がひとつ。参照画像はすっきりしているほど結果が良くなります。背景が散らかった画像を渡すと、頼んでもいない要素までモデルが引き継いでしまいます。手元の参照がそうなっているなら、 背景を削除 してから送ると、結果がかなり変わります。
文字とインフォグラフィック
読める文字を描けるようになったことは、この世代のモデルでもっとも目に見える進歩であり、Nano Banana Proの存在意義がはっきり出る領域でもあります。見出しと小見出しの入ったポスター、ラベル付きのインフォグラフィック、メモから起こした図解、ブランド名の入った表紙。少し前まではどれも崩れていましたが、いまはたいてい整った形で出ます。
文字を含む生成では、次の3点で結果が大きく変わります。
- 入れる文字をそのまま引用符でくくる。 くくらないと、モデルはその語をテーマとして受け取り、言い換えることがあります。
- 階層を説明する。 「上に大きな見出し、その下に小さめの小見出し、下部に短い文章を3ブロック」と書けば、任せきりにするよりはるかに思いどおりになります。
- Proモデルを使う。 詰まったレイアウトと小さな文字は、モデル間の差がいちばんはっきり出る条件です。
とはいえ、ブランド指定の書体を使わなければならない制作物では、文字なしで生成しておいて、あとから正しいフォントで テキスト追加するのが、いまも確実です。
そのまま使える8つのプロンプト
よくある用途をひととおり押さえた雛形です。角かっこの中だけ差し替えて、あとはそのまま使ってください。
記事のトップ画像
SNS用の正方形投稿
見出し入りのポスター
写真の背景を差し替える
作風のバリエーション
商品のモックアップ
シンプルなインフォグラフィック
写真から不要物を消す
Geminiでキャラクターをぶれさせない
修正が会話で完結する以上、いちばん効く方法はいちばん単純です。同じチャットを離れないことです。キャラクターを生成したら、説明し直さずに次の場面を頼みます。「同じキャラクターがカフェに座っているところを」と言えば、積み上がった文脈が働いてくれます。
シリーズが長くなる場合や、日を改めて続きを作る場合は、その画像を被写体の参照として渡し、変わらない特徴を書いた説明文を一字一句そのまま使い回してください。 AIでキャラクターの一貫性を保つ方法 のガイドで、4つの手法とその使いどころを詳しく扱っています。
GeminiとChatGPT、実際の違い
| 項目 | Gemini | ChatGPT |
|---|---|---|
| プロンプトの書き方 | 会話体の文章 | 会話体の文章 |
| 会話での修正 | 得意。元画像をよく保ちます | 得意。元画像をよく保ちます |
| 複数画像の入力 | 強み。作風の転写にも対応 | 対応 |
| 画像内の文字 | 良好。Proではさらに安定 | 良好 |
| モデルの選択 | 明示的に選べる(高速・思考・Pro) | プランに応じて即時か思考 |
| ダウンロード解像度 | 無料は1K、有料は2K | 最大2K |
この2つはかなり近づきました。実際的な判断基準は、同じ指示を両方に投げて見比べ、自分の作る画像で結果の良かったほうを使うことです。 ChatGPTで画像を作るガイド がもう一方を詳しく扱っていますし、 画像生成AIのおすすめ比較 が主要な選択肢を並べています。
Geminiが苦手なこと
- 本人と特定できる実在の人物。 著名人の生成は止められ、言い回しを変えても通りません。
- ブランドとライセンスキャラクター。 実在企業のロゴや保護されたキャラクターは断られます。
- 本物のベクターデータ。 出力はつねにラスター画像です。パスで編集できるファイルが要る場合、生成結果は描き起こしの下敷きにとどまります。
- 確実な背景透過。 頼んでも塗りつぶした背景で返ってきます。透過はあとから処理したほうが早く済みます。
- 手元の写真の完全な再現。 送った画像に手を入れさせると、モデルは場面ごと作り直すため、細部は変わります。
- 無料での大量生成。 無料利用では1日あたりの枠が限られます。
とくに損をする7つの失敗
- 試作にProモデルを使う。 本番で必要になる枠を先に使い切ってしまいます。
- タグの羅列で書く。 単語の羅列は別のツールの作法です。ここでは文章のほうが効きます。
- 縦横比を伝えない。 指定しなければ、必要な形になることはまずありません。
- 毎回プロンプトを書き直す。 うまくいっていた部分まで失います。直したい箇所だけを頼んでください。
- 背景の散らかった参照画像を送る。 頼んでもいない背景の要素まで引き継がれます。
- スクリーンショットで保存する。 解像度が落ち、再圧縮もかかります。
- 最適化せずに公開する。 2Kの画像は重く、どんなページでも表示速度を落とします。
生成したあとの仕上げ
Geminiから出てきた画像は、見るには十分でも、公開するには整っていません。4つの手順で片づきます。
形式を変換する。 PNGは透過に強く、ウェブ上の写真には向きません。サイト用ならWebPにすると見た目を変えずに容量が半分ほどになります。人に送るだけならJPGで十分です。 変換 ならブラウザ上で変換できますし、 画像形式の使い分けガイド が選び方の助けになります。
容量を落とす。 2Kの画像は簡単に数メガバイトに達します。 圧縮 を使えば、見た目を保ったまま大きく削れます。
サイズと画角を整える。 寸法が決まっているなら サイズ変更を、比率が合わなかった場合は 画像の切り抜き のほうが引き伸ばすより画質を保てます。
必要なら被写体だけを切り出す。 色付きの背景に載せる商品、ロゴ、パーツであれば、 背景を削除 が、生成では得られない透過PNGを用意してくれます。
💡 うまくいく順番: フル解像度でダウンロード → 切り抜き・リサイズ → 形式を変換 → 最後に圧縮。リサイズより先に圧縮すると、画質を無駄に捨てることになります。
生成前のチェックリスト
- 指示の複雑さに見合ったモデルを選びましたか?
- 縦横比を指定しましたか?
- 主役・動作・場面を含む文章として書けていますか?
- 文字を入れる場合、引用符でくくり、位置も指定しましたか?
- 送った参照画像の背景はすっきりしていますか?
- 全文を書き直すのではなく、直しを頼んでいますか?
- スクリーンショットではなく、フル解像度でダウンロードしますか?