ECでは、買い手は商品に触れることも、においを確かめることも、試すこともできません。購入前に得られる感覚的な手がかりは写真だけです。業界の調査では、消費者の75%がオンラインでの購入判断において写真の質を最も重要な要素に挙げており、これは価格をも上回ります。
プラットフォームごとにアルゴリズムも画面設計も違い、商品画像の評価のされ方も変わります。これらの要件を把握することは、細かな技術論ではありません。各モールの検索上位に出られるか、そして訪問をどれだけ売上に変えられるかに直結します。
どのプラットフォームにも共通すること
個々のモールの規定に入る前に、どこでも通用する原則を押さえておきましょう。
- 主役は商品: 商品は画面の85〜90%を占めるようにします。余白が多すぎると解像度が無駄になり、商品も実際より小さく見えます。
- 均一な光: 商品にも背景にも硬い影を落とさないこと。撮影ボックス、リングライト、やわらかい自然光のいずれかが最低ラインです。
- ピントの精度: メイン画像に写る商品の部分は、どこもぼけていたり手ぶれしていたりしてはいけません。
- メイン画像に余計なものを入れない: 付属品や飾り、商品を持つ手、ショップのロゴ、価格、宣伝文句は、どのプラットフォームでもメイン画像では禁止されています。
- 文脈は2枚目以降で: メイン画像は商品単体を見せ、2枚目以降で細部、使用シーン、大きさの比較、パッケージ、バリエーションを見せます。
📸 鉄則: 撮影は必ず出せる最大解像度で。スマートフォンのカメラで十分です。小さくするのは簡単ですが、小さい画像を引き伸ばせば画質は崩れます。選別、最適化、リサイズは、あとから適切なツールで行いましょう。
要件と運用のコツ
技術仕様
背景の要件
Mercado Livreは一般ガイドラインで白背景を必須とはしていませんが、 検索アルゴリズムは白や明るい背景の画像を優遇します 。明るい背景の出品ほど、注目枠やトップページのカルーセルに出やすくなります。実務上は、メイン画像の背景は白(#FFFFFFかそれに近い色)が推奨と考えてください。
色付きや質感のある背景、シーンを作り込んだ写真も2枚目以降であれば受け付けられますが、出品の品質スコアを下げる傾向があります。
Mercado Livreのアルゴリズムが評価する点
- 商品が中央にあり、背景が白く、画面の80%以上を占めるメイン画像
- 枚数の多い出品。6枚以上の画像がある出品が優遇されます
- 高解像度の写真。900×900pxを超える画像では自動的にズーム機能が有効になります
- 画像と商品名の一致。商品名に含まれる語が、写真を見て確かめられること
Mercado Livreで評価を下げる失敗
- メイン画像へのウォーターマーク、ショップロゴ、文字の重ね置き
- 他店から流用した画像(重複は検出されます)
- 多数の出品者が使い回している仕入元の汎用写真。出品が埋もれる原因になります
- 画像の周囲に付けた色枠や飾りフレーム
要件と運用のコツ
技術仕様
背景の要件
Shopeeの背景に関する規定は、Mercado Livreより柔軟です。 メイン画像の背景は白が強く推奨されますが、商品がはっきり見えていて、宣伝文句や競合ブランドのロゴなど規約に反する要素がなければ、他の色の背景も認められます。
Shopeeの出品者向けアプリには背景を自動で消す機能がありますが、輪郭の複雑な商品では仕上がりが安定しません。外部の 背景を削除 で切り抜き、できたPNGをアップロードするほうが正確に仕上がります。
Shopeeのアルゴリズムが評価する点
- 白背景で商品が際立つメイン画像。出品の品質スコアに直接影響します
- 表示の速さ。重いファイルはスマートフォンでの閲覧体験を損ないます
- 2枚目以降の内容の幅。使用シーン、色違い、素材の寄り、パッケージなど
- 出品内の写真のトーンの統一。ばらつきが大きいと成約率が下がります
Shopeeならではのコツ
Shopeeの利用者は大半がスマートフォンで、単価は低めかつ価格に敏感です。 商品の実寸や大きさが伝わる写真 (定規を添える、手を並べる、身近な物と比べるなど)を入れておくと、「思ったより小さい」という返品を大きく減らせます。これはこのプラットフォームで最も多い苦情のひとつです。
⚠️ 2 MB制限に注意: Shopeeは場合によって、2 MBを超える画像をエラー表示なしで黙って弾きます。理由もなくアップロードが失敗するようなら、 圧縮 でファイルサイズを確かめてから、もう一度試してください。
要件と運用のコツ
技術仕様
背景の要件 — 業界で最も厳格
Amazonの画像規定は、主要モールの中で最も厳格です。メイン画像(メインイメージ)には、 純粋な白(#FFFFFF)の背景が義務づけられています。これは推奨ではなく規則で、違反すると出品が非表示になり、修正するまで検索に出なくなります。
白は完全な純白でなければなりません。オフホワイト、薄いグレー、背景に影が落ちている写真は、Amazonの審査で弾かれます。商品は画像の85%以上を占める必要があります。白背景に落ちる商品の影は、やわらかければ許容されます。
Amazonのメイン画像に関するその他の規則
- 文字、ロゴ、ウォーターマーク、図版の重ね置きは不可
- 販売する商品に含まれない付属品を写さない
- マネキンは不可(衣類は平置きか、いわゆる透明マネキン、 ゴーストマネキン)
- 商品は販売するものと完全に同一であること(色、サイズ、構成)
- 枠線、額縁、複数色の背景は不可
Amazonが2枚目以降に認めていること
2〜9枚目の画像は自由度が高く、使用シーン、仕様をまとめた図解、他社製品との比較、素材や縫製の寄り、パッケージや同梱物などを載せられます。特長や強みを伝える2枚目以降を作り込んでいる出品者は、商品単体の写真しか使わない出品者より明らかに多く成約しています。
Amazonが1000px以上を求める理由
画像の短辺が1000px以上あると、Amazonはマウスオーバーによる拡大表示を自動で有効にします。買い手が商品の好きな部分を拡大して見られる機能で、Amazon自身の分析でも、この拡大が有効な商品は成約率が最大10%高いと示されています。拡大時の画質を確保するため、常に2000×2000pxで用意してください。
要件と運用のコツ
技術仕様
TikTok Shopだけは考え方が違う
TikTok Shopは、従来型のモールとは仕組みが異なります。商品はまずフィードの動画で見つけられ、購入までの流れの中で写真は脇役です。とはいえ、動画を見た人が商品ページに来たとき、購入の判断を固めるのはきちんとした写真です。
白背景も色付き背景も認められていますが、TikTok Shopで成果が出るのは、その商品のある暮らしが伝わる写真です。とくにファッション、美容、インテリア、食品・飲料といった分野で顕著です。いわゆる「ライフスタイル」寄りの見せ方が、他のモールより明らかによく効きます。
フィード連動用の縦位置
正方形の商品写真に加えて、TikTok Shopではフィード上のミニ動画や商品カードとして使う縦位置(9:16)の画像も登録できます。推奨は1080×1920pxで、TikTok動画と同じ比率です。こうすることで、商品がプラットフォームの見た目にそのままなじみます。
TikTok Shopのアルゴリズムが評価する点
- 実演動画がある商品は平均を大きく上回ります。写真は動画の補足であって、代わりにはなりません
- ファッションと美容では、マネキンではなく実際の人物が着用した写真のほうが成約します
- 背景はすっきりしていれば白でなくてよく、現代的でミニマルな設えがよく合います
- 写真のトーンと、ショップのプロフィールや動画の雰囲気がそろっていること
🎬 TikTok Shopでの優先順位: どちらか一方にしか時間をかけられないなら、写真ではなく動画に注いでください。使っているところを見せる30秒の実演は、このプラットフォームでは最高の静止画よりはるかに売れます。
プラットフォーム比較早見表
| プラットフォーム | 推奨解像度 | メイン画像の背景 | 1ファイルの上限 | 2枚目以降の枚数 |
|---|---|---|---|---|
| Mercado Livre | 1200 × 1200 px | 白(推奨) | 8 MB | 12枚まで |
| Shopee | 1024 × 1024 px | 白(推奨) | 2 MB | 9枚まで |
| Amazon | 2000 × 2000 px | 純白(必須) | 10 MB | 8枚まで |
| TikTok Shop | 1200 × 1200 px | 自由(ライフスタイル可) | 5 MB | 9枚まで |
商品画像を準備する手順
どのプラットフォーム向けでも、画像を仕上げる流れは同じです。
- 出せる最大解像度で撮影する。 スマートフォンの背面カメラでも一眼レフでもかまいません。大切なのは、後から加工できるだけのピクセル数を確保することです。最終サイズを想定して小さく撮ってはいけません。
- 必要なら背景を消す。 間に合わせの背景で撮った場合や、白背景の要件を満たす必要がある場合は、 背景を削除 で商品だけを透過PNGに切り出します。そのうえで白(#FFFFFF)の背景に載せて書き出してください。
- 各社の寸法に合わせてリサイズする。 ImageToolsの サイズ変更 で、1200×1200px(Mercado LivreとShopee)、2000×2000px(Amazon)など、出品先に合わせた寸法に整えます。
- 各社の容量制限に収まるよう圧縮する。 ImageToolsの 圧縮 で、見た目の劣化がわからない範囲までファイルを軽くします。2 MB制限のあるShopeeではとくに重要で、スマートフォンでの表示速度の改善にもつながります。
- アップロード前に仕上がりを確認する。 完成した画像を等倍で開き、商品がくっきりしているか、背景は要件どおりか、商品の輪郭に圧縮ノイズが出ていないか、寸法は合っているかを確かめます。
成約率をさらに上げる画像の工夫
2枚目は図解に使う
2枚目は、買い手が次に目を留める場所です。角度を変えただけの商品写真より、寸法・素材・強みといった要点をまとめた図解のほうがはるかに成約します。実寸、対応機種や適合条件、仕様を、すっきりした図で示してください。
3枚目は「使用前後」または「使用シーン」
使っている場面、取り付けた状態、口にしているところを3枚目に置くと、商品単体を見た買い手に残る最大の疑問、つまり「自分の環境でも使えるのか」に答えられます。引き出しに収めた仕切りケース、水のグラスと並んだサプリメント、壁に掛けた額。ここまで具体的に見せると、カゴ落ちが減ります。
パッケージの写真は必ず最後に
7枚目、8枚目まで見る人は、たいてい商品には納得していて、あとは届くものの中身、届き方、本物かどうかを確かめたいだけです。商品が入った状態のパッケージをはっきり見せておくと、配送に関する問い合わせが減ります。
ショップ全体でトーンをそろえる
光の当て方、背景、画面に占める商品の大きさが商品間でそろっているショップは、フォロワーからの成約率が高くなります。ショップページを開いたときに整った一覧が並んでいると、それだけで丁寧な店だと伝わり、信頼につながります。