ECでは、買い手は商品に触れることも、においを確かめることも、試すこともできません。購入前に得られる感覚的な手がかりは写真だけです。業界の調査では、消費者の75%がオンラインでの購入判断において写真の質を最も重要な要素に挙げており、これは価格をも上回ります。

プラットフォームごとにアルゴリズムも画面設計も違い、商品画像の評価のされ方も変わります。これらの要件を把握することは、細かな技術論ではありません。各モールの検索上位に出られるか、そして訪問をどれだけ売上に変えられるかに直結します。

どのプラットフォームにも共通すること

個々のモールの規定に入る前に、どこでも通用する原則を押さえておきましょう。

📸 鉄則: 撮影は必ず出せる最大解像度で。スマートフォンのカメラで十分です。小さくするのは簡単ですが、小さい画像を引き伸ばせば画質は崩れます。選別、最適化、リサイズは、あとから適切なツールで行いましょう。

Mercado Livre

要件と運用のコツ

技術仕様

最小サイズ
500 × 500 px
推奨サイズ
1200 × 1200 px
縦横比
1:1(正方形)
形式
JPGまたはPNG
最大サイズ
8 MB
写真の枚数
1出品あたり12枚まで

背景の要件

Mercado Livreは一般ガイドラインで白背景を必須とはしていませんが、 検索アルゴリズムは白や明るい背景の画像を優遇します 。明るい背景の出品ほど、注目枠やトップページのカルーセルに出やすくなります。実務上は、メイン画像の背景は白(#FFFFFFかそれに近い色)が推奨と考えてください。

色付きや質感のある背景、シーンを作り込んだ写真も2枚目以降であれば受け付けられますが、出品の品質スコアを下げる傾向があります。

Mercado Livreのアルゴリズムが評価する点

  • 商品が中央にあり、背景が白く、画面の80%以上を占めるメイン画像
  • 枚数の多い出品。6枚以上の画像がある出品が優遇されます
  • 高解像度の写真。900×900pxを超える画像では自動的にズーム機能が有効になります
  • 画像と商品名の一致。商品名に含まれる語が、写真を見て確かめられること

Mercado Livreで評価を下げる失敗

  • メイン画像へのウォーターマーク、ショップロゴ、文字の重ね置き
  • 他店から流用した画像(重複は検出されます)
  • 多数の出品者が使い回している仕入元の汎用写真。出品が埋もれる原因になります
  • 画像の周囲に付けた色枠や飾りフレーム
Shopee

要件と運用のコツ

技術仕様

最小サイズ
300 × 300 px
推奨サイズ
1024 × 1024 px
縦横比
1:1(正方形)
形式
JPGまたはPNG
最大サイズ
1枚あたり2 MB
写真の枚数
1商品あたり9枚まで

背景の要件

Shopeeの背景に関する規定は、Mercado Livreより柔軟です。 メイン画像の背景は白が強く推奨されますが、商品がはっきり見えていて、宣伝文句や競合ブランドのロゴなど規約に反する要素がなければ、他の色の背景も認められます。

Shopeeの出品者向けアプリには背景を自動で消す機能がありますが、輪郭の複雑な商品では仕上がりが安定しません。外部の 背景を削除 で切り抜き、できたPNGをアップロードするほうが正確に仕上がります。

Shopeeのアルゴリズムが評価する点

  • 白背景で商品が際立つメイン画像。出品の品質スコアに直接影響します
  • 表示の速さ。重いファイルはスマートフォンでの閲覧体験を損ないます
  • 2枚目以降の内容の幅。使用シーン、色違い、素材の寄り、パッケージなど
  • 出品内の写真のトーンの統一。ばらつきが大きいと成約率が下がります

Shopeeならではのコツ

Shopeeの利用者は大半がスマートフォンで、単価は低めかつ価格に敏感です。 商品の実寸や大きさが伝わる写真 (定規を添える、手を並べる、身近な物と比べるなど)を入れておくと、「思ったより小さい」という返品を大きく減らせます。これはこのプラットフォームで最も多い苦情のひとつです。

⚠️ 2 MB制限に注意: Shopeeは場合によって、2 MBを超える画像をエラー表示なしで黙って弾きます。理由もなくアップロードが失敗するようなら、 圧縮 でファイルサイズを確かめてから、もう一度試してください。

Amazon

要件と運用のコツ

技術仕様

最小サイズ
1000 × 1000 px
推奨サイズ
2000 × 2000 px
縦横比
1:1(推奨)
形式
JPG(推奨)、PNG、TIFF
最大サイズ
10 MB
写真の枚数
1商品あたり9枚まで

背景の要件 — 業界で最も厳格

Amazonの画像規定は、主要モールの中で最も厳格です。メイン画像(メインイメージ)には、 純粋な白(#FFFFFF)の背景が義務づけられています。これは推奨ではなく規則で、違反すると出品が非表示になり、修正するまで検索に出なくなります。

白は完全な純白でなければなりません。オフホワイト、薄いグレー、背景に影が落ちている写真は、Amazonの審査で弾かれます。商品は画像の85%以上を占める必要があります。白背景に落ちる商品の影は、やわらかければ許容されます。

Amazonのメイン画像に関するその他の規則

  • 文字、ロゴ、ウォーターマーク、図版の重ね置きは不可
  • 販売する商品に含まれない付属品を写さない
  • マネキンは不可(衣類は平置きか、いわゆる透明マネキン、 ゴーストマネキン)
  • 商品は販売するものと完全に同一であること(色、サイズ、構成)
  • 枠線、額縁、複数色の背景は不可

Amazonが2枚目以降に認めていること

2〜9枚目の画像は自由度が高く、使用シーン、仕様をまとめた図解、他社製品との比較、素材や縫製の寄り、パッケージや同梱物などを載せられます。特長や強みを伝える2枚目以降を作り込んでいる出品者は、商品単体の写真しか使わない出品者より明らかに多く成約しています。

Amazonが1000px以上を求める理由

画像の短辺が1000px以上あると、Amazonはマウスオーバーによる拡大表示を自動で有効にします。買い手が商品の好きな部分を拡大して見られる機能で、Amazon自身の分析でも、この拡大が有効な商品は成約率が最大10%高いと示されています。拡大時の画質を確保するため、常に2000×2000pxで用意してください。

TikTok Shop

要件と運用のコツ

技術仕様

最小サイズ
500 × 500 px
推奨サイズ
1200 × 1200 px
縦横比
1:1(正方形)
形式
JPGまたはPNG
最大サイズ
1枚あたり5 MB
写真の枚数
1商品あたり9枚まで

TikTok Shopだけは考え方が違う

TikTok Shopは、従来型のモールとは仕組みが異なります。商品はまずフィードの動画で見つけられ、購入までの流れの中で写真は脇役です。とはいえ、動画を見た人が商品ページに来たとき、購入の判断を固めるのはきちんとした写真です。

白背景も色付き背景も認められていますが、TikTok Shopで成果が出るのは、その商品のある暮らしが伝わる写真です。とくにファッション、美容、インテリア、食品・飲料といった分野で顕著です。いわゆる「ライフスタイル」寄りの見せ方が、他のモールより明らかによく効きます。

フィード連動用の縦位置

正方形の商品写真に加えて、TikTok Shopではフィード上のミニ動画や商品カードとして使う縦位置(9:16)の画像も登録できます。推奨は1080×1920pxで、TikTok動画と同じ比率です。こうすることで、商品がプラットフォームの見た目にそのままなじみます。

TikTok Shopのアルゴリズムが評価する点

  • 実演動画がある商品は平均を大きく上回ります。写真は動画の補足であって、代わりにはなりません
  • ファッションと美容では、マネキンではなく実際の人物が着用した写真のほうが成約します
  • 背景はすっきりしていれば白でなくてよく、現代的でミニマルな設えがよく合います
  • 写真のトーンと、ショップのプロフィールや動画の雰囲気がそろっていること

🎬 TikTok Shopでの優先順位: どちらか一方にしか時間をかけられないなら、写真ではなく動画に注いでください。使っているところを見せる30秒の実演は、このプラットフォームでは最高の静止画よりはるかに売れます。

プラットフォーム比較早見表

プラットフォーム推奨解像度メイン画像の背景1ファイルの上限2枚目以降の枚数
Mercado Livre1200 × 1200 px白(推奨)8 MB12枚まで
Shopee1024 × 1024 px白(推奨)2 MB9枚まで
Amazon2000 × 2000 px純白(必須)10 MB8枚まで
TikTok Shop1200 × 1200 px自由(ライフスタイル可)5 MB9枚まで

商品画像を準備する手順

どのプラットフォーム向けでも、画像を仕上げる流れは同じです。

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成約率をさらに上げる画像の工夫

2枚目は図解に使う

2枚目は、買い手が次に目を留める場所です。角度を変えただけの商品写真より、寸法・素材・強みといった要点をまとめた図解のほうがはるかに成約します。実寸、対応機種や適合条件、仕様を、すっきりした図で示してください。

3枚目は「使用前後」または「使用シーン」

使っている場面、取り付けた状態、口にしているところを3枚目に置くと、商品単体を見た買い手に残る最大の疑問、つまり「自分の環境でも使えるのか」に答えられます。引き出しに収めた仕切りケース、水のグラスと並んだサプリメント、壁に掛けた額。ここまで具体的に見せると、カゴ落ちが減ります。

パッケージの写真は必ず最後に

7枚目、8枚目まで見る人は、たいてい商品には納得していて、あとは届くものの中身、届き方、本物かどうかを確かめたいだけです。商品が入った状態のパッケージをはっきり見せておくと、配送に関する問い合わせが減ります。

ショップ全体でトーンをそろえる

光の当て方、背景、画面に占める商品の大きさが商品間でそろっているショップは、フォロワーからの成約率が高くなります。ショップページを開いたときに整った一覧が並んでいると、それだけで丁寧な店だと伝わり、信頼につながります。

よくある質問

商品写真に本格的なカメラは必要ですか?
必要ありません。2021年以降のiPhoneやAndroidの背面カメラなら、どのプラットフォームの要件も十分に満たす解像度と画質が得られます。機材より効くのは光です。安価な撮影ボックスを使うか、直射日光の入らない窓辺のやわらかい自然光で撮るだけで、照明の悪いスタジオよりずっとよい仕上がりになります。三脚と白い背景紙(A2程度の画用紙やコピー用紙)があれば、最小限の装備はそろいます。
同じ写真をすべてのプラットフォームで使い回せますか?
各社の最小サイズを満たしていれば使えます。Amazonの要件である2000×2000pxで撮っておけば、その画像はMercado Livre、Shopee、TikTok Shopでもそのまま通ります。いずれも最小サイズより大きい画像を受け付けるためです。差が出るのは2枚目以降で、こちらは各プラットフォームの雰囲気に合わせて作り分けられます。
スタジオ機材なしで白背景を作るには?
窓の近くの平らな場所に、A3かA2の白い紙(または白い画用紙)を敷きます。商品を紙の中央に置き、窓の光を横または正面から当ててください。逆光にしてはいけません。真上か正面から撮り、画面に映るのが商品と白い紙だけになるようにします。背景にグレーがかった部分が残ったら、背景削除ツールで整えます。これでたいていのプラットフォームの要件を満たせます。
写真が原因でAmazonの出品が非表示になりました。どうすればよいですか?
Amazonで画像を理由に非表示になる原因は、背景が白でない、文字が重なっている、商品が画面の85%未満しか占めていない、のいずれかがほとんどです。セラーセントラルで非表示の通知を開いて理由を確認し、要件どおりに修正してください。背景は純粋な#FFFFFF、余計な要素なし、商品は中央で大きく、が条件です。修正後に再アップロードすれば、通常24〜48時間で解除されます。
写真の質は売上にどれくらい影響しますか?
EC分野の調査では一貫して、きちんとした写真を使った商品は、同じ商品を素人写真で出した場合と比べて2〜4倍成約すると報告されています。とくにAmazonでは、写真の質の差が検索順位を何ページ分も動かしかねません。アルゴリズムがクリック率の高い出品を優遇し、そのクリック率は検索結果に並ぶメイン画像の見栄えに直結しているからです。
1つの出品に写真は何枚使うべきですか?
各プラットフォームの上限、またはそれに近い枚数を必ず使ってください。写真が多い出品ほどアルゴリズムの評価が高く(買い手に与える情報が多いと解釈されます)、購入前の疑問により多く答えられるぶん成約率も上がります。おすすめの順序は、1枚目が白背景のメイン画像、2枚目が特長をまとめた図解、3枚目が使用シーン、4〜5枚目が素材や仕上げの寄り、6枚目がバリエーションとサイズ、7枚目がパッケージです。