コンテンツ制作者、制作会社、事業者が法的なトラブルを抱える原因として、画像の無断利用は上位に来ます。「ネットに上がっているなら自由に使える」という思い込みは誤りで、しかも高くつきます。日本でも画像の著作権侵害をめぐる紛争は珍しくなく、数万円規模で収まることもあれば、利用の規模によっては数百万円に達することもあります。
日本の法律は画像の著作権をどう定めているか
日本の著作権は 著作権法(昭和45年法律第48号) が定めています。写真を含む著作物は、創作された時点で自動的に保護されます。 登録は必要ありません.
つまり、誰が撮った写真であっても、撮られた時点ですでに保護されています。署名も、押印も、公証も、©マークの表示も、権利が生まれるための条件ではありません。シャッターを切った瞬間に権利は発生します。
著作者にはどんな権利があるのか
法律は撮影者に2種類の権利を認めています。
- 著作者人格権: 他人に譲り渡すことができない、著作者本人だけの権利です。作品を売ったあとでも、自分が作者だと示す権利は残ります。公表するかどうかを決める権利や、意に反する改変を拒む同一性保持権も含まれます。
- 著作権(財産権): 作品を使い、収益を得て、処分する独占的な権利です。複製、譲渡、公衆送信、翻案などが含まれます。こちらは第三者に譲渡することも、利用を許諾することもできます。
保護期間はどのくらいか
日本では、写真の著作権(財産権)は 著作者の死亡した年の翌年1月1日から70年間存続します。この期間が過ぎると、作品はパブリックドメインになります。無名・変名の著作物や、法人名義の著作物は、公表された時点から数えます。
⚠️ 注意: パブリックドメインになったあとも、著作者人格権にあたる利益は保護されます。可能なかぎり著作者名は示してください。
どんな場合に侵害になるのか
保護されている画像を、次のいずれもないまま使うと侵害になります。
- 著作者または権利者からの明確な許諾
- その使い方(商用、改変など)を認めるライセンス
- 法律上の例外にあたること(教育目的での利用、引用など)
よくあるのは、有料ストックの写真をライセンスなしで使う、他人の写真を無断・無表示で再掲する、SNS上の他人の画像を広告に使う、許諾なく写真を加工したり切り抜いたりする、といったケースです。
画像ライセンスの種類
権利者が利用を認めるやり方には、いくつかの型があります。
| ライセンスの種類 | 認められる範囲 | 例 |
|---|---|---|
| ロイヤリティフリー(RF) | 一度支払えば回数無制限。ただし画像そのものの再販は不可 | Shutterstock、Adobe Stock |
| ライツマネージド(RM) | 媒体と期間を限定した個別許諾。制約が多く高額 | Getty Images |
| クリエイティブ・コモンズ(CC) | 種類による。表示義務、商用禁止、改変禁止などが付く | Flickr CC、ウィキメディア・コモンズ |
| パブリックドメイン(CC0) | 商用を含めて自由。表示義務もなし | Unsplash、Pexels、Pixabay |
| エディトリアル利用 | 報道・解説の文脈でのみ利用可。広告には使えません | イベント写真、著名人の写真 |
クリエイティブ・コモンズとは
クリエイティブ・コモンズ(CC) は、どこまでの利用を認めるかを著作者があらかじめ示しておく仕組みです。使う側が毎回許可を求めなくて済みます。4つの条件の組み合わせで、主に6種類が使われています。
- BY (表示): 著作者名の表示が必要
- NC (非営利): 営利目的の利用は不可
- ND (改変禁止): 切り抜き・加工・リミックスなどの改変は不可
- SA (継承): 改変後の作品も同じライセンスにする必要があります
| ライセンス | 商用利用 | 改変 | 著作者表示 |
|---|---|---|---|
| CC BY | 可 | 可 | 必須 |
| CC BY-SA | 可 | 可(同じライセンスで) | 必須 |
| CC BY-ND | 可 | 不可 | 必須 |
| CC BY-NC | 不可 | 可 | 必須 |
| CC BY-NC-SA | 不可 | 可(同じライセンスで) | 必須 |
| CC BY-NC-ND | 不可 | 不可 | 必須 |
| CC0(パブリックドメイン) | 可 | 可 | 任意 |
💡 実務上のヒント: Unsplash、Pexels、Pixabayから画像を落とすときは、その1枚ごとのライセンスを必ず確認してください。多くはCC0相当ですが、撮影者が追加の条件を付けている場合があります。
自由に使える画像はどこで探すか
商用利用まで認める、ゆるやかなライセンスの画像を集めたサービスがあります。
- Unsplash — 質の高い写真。独自の緩やかなライセンス(商用可、素材としての再販は不可)
- Pexels — 写真と動画。多くはCC0相当
- Pixabay — 写真、イラスト、ベクター素材。CC0相当
- ウィキメディア・コモンズ — 膨大な収蔵数。ライセンスはさまざまなので1点ずつ確認が必要
- Google画像検索 — ツールから「ライセンス」を開き、クリエイティブ・コモンズで絞り込めます
- Flickr — 詳細検索で特定のCCライセンスを指定して探せます
自分で撮った写真はどう守るか
カメラマン、コンテンツ制作者、自社で画像を作っている事業者であれば、保護を厚くする手立てがいくつかあります。
登録(義務ではないが、備えになる)
権利の発生に登録は不要ですが、 文化庁の著作権登録制度 や公証役場の確定日付を使えば、いつ時点で存在したかを公的に示せます。争いになったときの立証が格段に楽になります。デジタル環境では、改ざんできないタイムスタンプを残すブロックチェーン型の登録サービスもあります。
ウォーターマーク
公開前に、目に見える透かしか、あるいは電子透かしを入れておくのは、無断利用を抑え、自分の作品だと示すうえでかなり有効です。Lightroom、Photoshop、スマホアプリでも一括で入れられます。
EXIF・IPTCのメタデータ
画像のメタデータに著作権表示、著作者名、説明を書き込んでおくのも、もう一枚の備えになります。これらの情報はファイルとともに移動し、メタデータを読めるツールなら誰でも確認できます。関係する項目は Copyright(著作権表示), Artist(著作者), Credit(クレジット) e Rights URL(権利情報のURL).
ただし、写真を受け取った側は EXIF削除 のようなツールでこれらを消せます。登録や透かしを併用する意味はそこにあります。
利用条件を明示する
写真を販売している、あるいは自社サイトで画像を配布しているなら、利用条件をはっきり書いて公開してください。認める使い方、認めない使い方、許諾を申し込む方法を定めておきます。明文化されていれば揉めごとが減り、争いになったときの立場も強くなります。
無断で使われていたらどうするか
自分の写真が許可なく使われているのを見つけたときの手順です。
- 証拠を残す: 日付、ページのURL、相手を特定できる情報を含めてスクリーンショットを取っておきます。
- まず直接連絡する: 事情を説明した丁寧なメール1通で片づくことは少なくありません。すみやかな削除か、事後の利用許諾の話し合いを求めます。
- DMCA通知を送る: 相手のプラットフォームが米国系(Instagram、YouTube、Google)なら、そのサービス経由でDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の削除通知を出せます。
- サービス側に申し立てる: 主要なSNSにはいずれも著作権侵害の申告フォームがあります。遠慮なく使ってください。
- 弁護士に相談する: 商用での無断利用で損害が大きい場合は、法的手続きで賠償を求める道があります。著作権法第114条には損害額の算定に関する規定があり、権利者が受けるべき利用料相当額などを基礎に請求できます。
よくある質問
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については、知的財産を専門とする弁護士にご相談ください。